健康診断の手引

検査の意味と検査値の読みかた、活用のしかた

高脂血症の検査

(総)コレステロール[血清]略号:T-Cho,TC,Chol

何がわかるのか

コレステロールは、細胞の膜を構成したり、腸内での脂肪の消化に役立つ胆汁酸やホルモンの一種であるステロイドホルモンの原料ともなります。体にとって必要な物質です。

余分にとると動脈の壁に沈着して動脈硬化を起こしていきます。とくに、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生率は、血清中のコレステロール量と相関します。

血清コレステロールの正常値は、通常120〜239mg/dLとされています。しかし、最近では、なるべく少ない方が動脈硬化を起こし難いということから、日本動脈硬化学会では、120〜219mg/dLを正常値としています。アメリカでは120〜199mg/dLを正常、200〜219mg/dLを境界域、220mg/dL以上を高脂血症としています。

高コレステロール血症の原因には、次のものがあります。

①原発性高脂血症:遺伝や家族性に多くみられるもので、体質や生まれつきの異常が原因です。

②二次性高脂血症:生活習慣や他の病気による高コレステロール血症で、脂肪のとり過ぎ、内分泌の病気(甲状腺機能低下症など)、糖尿病、肝臓病、ネフローゼなどによります。
高コレステロール血症の場合、どの原因によるかを決めるのも治療上、重要です。

コレステロールが低過ぎでも病気です。原因には、

①原発性低脂血症:生まれつきの病気によるもの。

②二次性低脂血症:低栄養、肝臓の病気、貧血、甲状腺機能亢進症などによるもの。
があります。とくに、重篤な肝臓病や甲状腺機能亢進症でよくみられます。

多過ぎるコレステロールは心筋梗塞のもと

おおよその目安 ― 検査値の判定と対策

値(mg/dL)判定対策
先天性の原発性低コレステロール血症詳しく調べてもらいます。
(低値)低コレステロール血症甲状腺機能検査、肝機能検査、栄養状態などを調べます。家族性のこともあり、家族の検査もします。

130 〜 219
正常
(軽度上昇)境界域食事療法、運動療法を実施し、他に狭心症、糖尿病、動脈硬化などがあれば、薬による治療を受けます。
(中・高度上昇)中等度高コレステロール血症食事療法、運動療法を行い、必要により薬による治療を受けます。
高度高コレステロール血症医師の薬による治療が必要です。
家族性の高コレステロール血症専門家の検査・治療が必要です。

測定のときの注意

原則として、早朝空腹時に採血します。但し、食事にはあまり影響されません。

年齢とともに増加します。男性では50歳代、女性では60歳代がピークを示します。

どうすればよいのか ― 日常生活上の注意

大部分の高コレステロール血症は、栄養過剰によるものや糖尿病によるものなどです。食事療法と運動療法がまず第一のステップです。コレステロールを10%下げれば、心筋梗塞の発生は10〜20%低下します。

食事療法の原則

①1日の食物量を減らします。一般に標準体重を計算し、その標準体重1㎏あたりのカロリー摂取量を25〜30kcalとします。身長が165㎝ならば、[(1.65)2×22.0]×(25〜30)=1,497〜1,797kcalとなります。摂取カロリーをコントロールするには、「糖尿病治療のための食品交換表」を利用するとよいでしょう。最近の日本人の調査では1日2,100kcalぐらいとっていますから、現在の量の70〜85%ぐらいとすればよいわけです。

②コレステロールの摂取を減らします。1日のコレステロール摂取量を300mg以下にします。
動脈硬化があるときは150〜250mgとなります。コレステロール含量の多い食品は、卵黄、いかやえび、レバー、貝類、動物や魚の内臓、魚卵などです。卵黄1個には235mgのコレステロールが含まれています。洋菓子も危険です。牛乳は1日200〜400mlとってもコレステロールは30〜50mg程度です。

③多価不飽和脂肪酸を多くとります。多価不飽和脂肪酸(リノール酸、EPAなど)はコレステロールを下げる作用があります。具体的には、動物油を植物油にかえることです。昔の日本食がよいわけです。

④食物線維を多くとります。食物線維はコレステロールの吸収を抑えます。1日25gの食物線維の摂取を必要としていますが、現在の日本人は1日17gしかとっていません。現在の1.5倍必要となります。線維の多い食物は、オートミール、ライ麦パン、玄米、コーンフレーク、ひじき、しいたけ、大豆、野菜などです。

⑤食事療法は一生続ける必要があります。定期的に確認しましょう。自分の好みに合わせてうまく実施することも長続きのコツです。また、食習慣として、1日3回定時に食べる、夜遅く食べない、夕食を多くしない、ゆっくりとよく噛んで食べるなどが必要です。

運動療法の原則

①運動は、コレステロールの代謝を促進する働きもあれば、エネルギーを消費する働きもあり、高脂血症にはよい療法となります。

②食事療法とともに行うと効果が大きくなります。

③有酸素運動(エアロビクス運動)、すなわち中程度の運動が脂肪をよく燃焼してくれます。但し、10分以上続けないと、脂肪は燃えません。これにはジョギングや早足走行(ウォーキング)を1回20〜30分、週3日以上、ないしは週20㎞以上のジョギングか走行が適しています。

④喫煙は運動の効果を減弱するので、禁煙しましょう。

⑤関節などの事故を防ぐために、服装や靴(底の厚いウォーキングシューズ)を用意しましょう。

⑥運動の前後には準備体操や整理体操を実施しましょう。

⑦できれば、開始前に医師のチェックを受けてください。

一般に薬による治療の必要な場合は次の人です。

①コレステロールが220〜260mg/dLで、危険因子(高齢者、男性45歳以上、女性閉経後、喫煙、心筋梗塞の家族歴、肥満、糖尿病)のある人。

②コレステロールが200mg/dL以上で、心筋梗塞や狭心症のある人。

③コレステロールが260mg/dL以上の人。
かかりつけ医や病院で相談してください。

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