健康診断の手引

検査の意味と検査値の読みかた、活用のしかた

肝臓の検査

肝炎ウイルスの検査

肝炎を起こすウイルスは、A・B・C、3つの型が大部分です。

ウイルス肝炎は肝障害の中で最も多く、自分では症状がありません。輸血などによって、他人に肝炎を起こす"キャリア"の存在が重視され、健診やドックでも検査項目に加えられつつあります。抗原はウイルスそのもの、抗体は体の中でそれを殺す能力をもっている物質を示します。

何がわかるのか

HBs抗原(+)は、現在B型肝炎ウイルスが存在していること。すなわち、感染中であることを示します。

HBs抗体(+)は、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことを示します。また、B型ウイルスが体内に入っても、これを殺す能力もあることを示しています。

HBc抗体(+)は、

①値が低い場合:過去にB型ウイルスに感染したことを示します。

②値が高い場合:現在、B型ウイルスに感染していることを示します。

HBe抗原(+)は、感染力の強いB型ウイルスに感染していることを示します。

HBe抗体(+)は、B型肝炎ウイルスの量が少なく、感染力も低く、肝炎も非活動性であることを示します。

HCV抗体(+)は、C型肝炎ウイルスにかつて感染したか、現在持続して感染していることを示します。

健診やドックではHBs抗原、HBs抗体、HCV抗体が検査の対象となることが多く、その目安について以下にまとめます。

結果判定対策
HBs抗原(+)①B型肝炎にかかっている。治療を受けてください。
症状がなくてもキャリアかどうか検査してください。
②B型肝炎のキャリアである。肝臓を大切にしましょう(GOTの日常生活上の注意の項をみてください。
他人に輸血できません。
HBs抗体(+)過去B型肝炎にかかったことがある。現在、感染の心配はありません。
通常の生活で十分です。
HCV抗体(+)①低力価過去に感染がありますが、現在は感染していません。
②中力価現在感染しているかどうか、HCV RNA検査を行います。
HCV RNA(−):現在、感染していません。
HCV RNA(+):現在、感染しています。
③高力価現在、感染しています。
HBs抗原・抗体とも(−)今までB型肝炎ウイルスにさらされたことはないが、抵抗力がない。定期的な健診を受けてチェックを続けてください。

おおよその目安 ― 検査値の判定と対策

一般に結果は、陽性、陰性および判定保留で示されます。抗原やRNAが、

陽性:(+)、すなわち肝炎ウイルスが存在していること。

陰性:(−)、すなわち肝炎ウイルスは存在しないこと。

保留:きわめて弱い反応で、判定できないことを示します。現在、感染しつつあったり、抗体を作りつつある初期か、肝炎ウイルス以外のもので反応しているか、測定の感度が不十分か、偽りの反応であるかなどです。この場合、しばらくして再検しましょう。

測定のときの注意

抗原や抗体は感染して、しばらくしないと出てきません。

C型肝炎ウイルス抗体の測定法には種々のものがあり、その感度は一定ではありません。

どうすればよいのか

B型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスも、抗原ウイルスが存在している血液(HBs抗原(+)か、HCV抗体(+)でHCV RNA(+)の血液)からしか他人に感染しません。大部分が非経口的感染です。

これらのウイルスが体内にいて、体の抵抗力が低下すると発病します。C型肝炎ではその一部(約10分の1)は慢性肝炎となり、ついでその一部(約10分の1)が肝硬変となり、最終的にはその一部(約10分の1)が肝がんになって死に至ります。

したがって、肝炎の症状が出た人やキャリアの人は、なるべく進行しないように、肝臓を大切にする必要があります。方法は、GOTの日常生活上の注意の項をみてください。

もう1つ、日常生活の注意点として、他人にうつさないようにすることです。キャリアの人(HBs抗原(+)の人や、HCV抗体(+)で現在感染していて症状がない人)は、

①カミソリ、歯ブラシ、手ぬぐいは専用とする。

②供血(献血)はしない。

③乳幼児に口うつしに食べ物を与えない。

④排尿、排便、月経時には手指を十分に水洗いする。

⑤定期的(1年に1〜2回)に肝機能検査などを受ける。
以上を守ってください。十分に注意していれば、自分も他人にも迷惑をかけることはありません。

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