健康診断の手引

検査の意味と検査値の読みかた、活用のしかた

呼吸器の検査

呼吸機能検査(スパイロメトリー)略号:VC,FEV1.0%

何がわかるのか

呼吸のときの呼気量と吸気量を測定し、呼吸の能力を調べることをスパイロメトリーとよんでいます。換気の機能を調べる基本の検査です。

通常、次の測定を行います。

①肺活量(VC):空気をいっぱい吸入して、いっぱい吐いたときの量です。通常、年齢と身長によって計算した予測正常値と比較し、%肺活量として表します。肺の呼吸全容量です。

②1秒率(FEV1.0%):肺活量を測定するときに、最初の1秒間に全体の何%を呼出するかの値です。肺の弾力性や気道の閉塞の程度を示します。弾力性がよく、閉塞がないと値は大きくなります。

この2つの指標を使って、肺の換気の障害を拘束性と閉塞性および両者の混合性の3つに分けます。

⑴拘束性障害:肺活量の低下は、呼吸する肺の組織が減少したり、胸膜の病気などでみられます。

①肺の弾力性の低下:肺線維症、じん肺、間質性肺炎など。

②胸部の拡張の障害:古い胸膜炎。

③呼吸運動の障害:筋肉、神経の病気。

⑵閉塞性障害:1秒率の低下が主な病気です。

①気道閉塞:喘息、慢性気管支炎、びまん性細気管支炎。

②肺気腫:慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、とくに近年多くなっています。

肺の換気の障害の分けかた

おおよその目安 ― 検査値の判定と対策

%肺活量1秒率(%)判定病気
80以上70以上正常
79以下70以上拘束性障害肺の弾力性の低下(肺線維症、じん肺、間質性肺炎など)、胸部の拡張の障害(古い胸膜炎)、呼吸運動の障害(筋肉、神経の病気)が考えられ、医師の管理による治療をします。
80以上69以下閉塞性障害気道閉塞(喘息、慢性気管支炎、びまん性細気管支炎)、肺気腫(慢性閉塞性肺疾患COPD)が考えられ、症状があれば治療をします。
79以下69以下混合性障害上記の混合疾患

検査のときの注意

この検査は、被検者の最大の協力がないと正確な値が出せません。指示どおり最大の努力をしてください。

気胸、骨折、肺炎などでは、検査は禁忌です。

結核など人に感染する病気の場合も禁忌です。

どうすればよいのか

正しく検査を受け、自分の呼吸の能力を把握してください。

閉塞性障害がみられたら、禁煙など気道の閉塞を促進するものは中止しましょう。

とくに重篤な病気がない場合は、日頃の呼吸訓練が重要です。基本は、ゆっくりと深呼吸をし、その際腹式呼吸を行うことです。まず、仰臥位になり、体の各筋肉の緊張を和らげ、右手を胸の中央に、左手を腹部におきます。口を閉じて鼻から深く吸い、腹をできるだけ膨らませます。そのとき、右手で胸部が動かないようにします。次に、口をすぼめてゆっくりと息を吐き出し、同時に左手で腹を内上方へ押し上げます。吸気に2秒、呼気に3〜5秒かけるようにします。ついで、左側、右側を下にして横になり同じことを行います。最後に、頭部を10度下げた位置や座位で行います。時間のあるかぎり、疲れないかぎり続けます。

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